胡波のつぶやき

それってこういうことかな、だったらこうしたらどうなる。

なんとかして離れるべき人

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人との人間関係を作る時に、二つのタイプがある。

一つ目は、上下関係を作るのが得意な人。

組織には、たてまえのヒエラルキーと暗黙のヒエラルキーがあり、たとえば会社で、昇進はしないが仕事は完ぺきにできるという人がいて、暗黙の上下関係を作り、みんなに仕事を教えるだけでなく、よろず相談受付でも好評を得て人徳がある。その人に従う人も上下関係を作るのがうまい。相手が自分の上なのか下なのか瞬時にわかるらしい。

二つ目のタイプは、横並びの関係を作るのが得意な人。

人間同士、基本的に平等だという考えで、会社や組織の中では、仕事のことで上司の指示に従うが、その組織と関係のないことでは、命令を聞いたり命令をしたりしない。

 

ところが、このどちらもできない人もいる。自分の周りにいる人を、自分のために利用できるかできないかだけを考えている。

しかもなぜかこういう人はたいてい、笑顔がさわやかで決まりをよく守り、仕事も趣味もよくできて、人の悪口は言わず、家族の記念日には必ずプレゼントを渡す。

人に嘘をついても、自分は嘘などついたことはないと思っている。

さいころから道徳的なことを実行していれば自分は困ることにはならないと思っていて、なにか悪いことが起こったら、あの時に自分がこうしたことが悪かったのか、だれだれがあれをしてくれたらこうはならなかったかの、どちらだろうかと悩む。

自然現象や社会情勢に法則があることや、人と人との心の交流などを信じない。

テレビのニュースキャスターが言うようなことを、よく覚えて人に話す。

こういう人を、脳科学者はサイコパスという。

 

例えば、サンテグジュペリ「星の王子様」の星で王子を待っている花。

本当に自己中心的で王子をこき使うから逃げてきたのに、王子は毒蛇に自分の足を噛ませてまで、花のもとに帰ろうとする。

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とか、村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」の綿谷昇。

この人は、政界に進出するために妹の夫が邪魔だったのだろうか。

主人公は、妻を取り戻すために果敢に戦う。

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しかし、世の中で起きている、虐待・ハラスメント・いじめ・ゆすりなど、

上の三種類のどの人も、加害者にも被害者にもなる可能性がある。

そして、被害者はいずれ加害者になる。

 

自分を大事にしてくれるはずの人が、自分に攻撃してきて、それを我慢しているうちに自分が自分を大事にできなくなってしまうようなら、なんとかしてその人から離れなければならない。問題なのは、攻撃が長く続くと、攻撃だとは感じなくなるし、そもそも加害者は攻撃しているなどとは思ったことがない。

「あなたのためを思って言っている」という言葉は100%信用できない。本当に、ためを思う人は、そうは言わない。

見えない手で心臓を鷲掴みにされていて、振り払って逃げても追いかけてきて掴まれる。自分で心臓を真っ二つに切り、半分だけの心臓でこれから生きていくくらいのつもりで逃げなければいけない。住むところがなくて路上生活をしたり、食べるものがなくてゴミをあさったりするのを覚悟して逃げなければいけない。

行政は信用できない。公務員の中には中途半端な親切心を持っている人が多く、自分が説得してあげたから、もう大丈夫だから帰りなさいとかいう話になる。

同じような被害に遭って逃げた経験がある人と、そういう支援をした経験がある人は信用できる。

自分が被害に遭う理由が、自分の中にあると思っているうちは、被害者はまた別の加害者に攻撃されるので、何回でも逃げなければいけない。

自分の未来を、自分で決めることができるようにならなければいけない。

 

自分は被害者ではないと思う人も、自分は加害者ではないと思う人も、自分で疑ってみる必要がある。いじめのない学校や職場もないし、子供のことを負担に思ったことがない親もいない、自分に対する被害については、たいてい誰でも思い当たる。加害の側に立った経験は、たいてい忘れている。

 

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参考文献 「ハラスメントは連鎖する」安冨歩 本條晴一朗著

     「サイコパス中野信子

     「良心を持たない人たち」マーサ・スタウト著

     「サイコパスインサイド」ジェームス・ファロン著

     「母を棄ててもいいですか?」熊谷早智子著