胡波のつぶやき

それってこういうことかな、だったらこうしたらどうなる。

世の中、静かです

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小川洋子の「密やかな結晶」という小説がある。

その島では何日かごとに、何かが消える、消すことを強いられる、そのものに対する執着や愛情や記憶も数日のうちに完全に消える。最初は、鳥・オルゴール・フェリー・カレンダーとか。

うっかり隠し持っていると、秘密警察にしょっぴかれるあたりは、ナチスのゲシュタボみたいなイメージがある。島の人たちが恐れているのは秘密警察だけで、みんなで助け合って生きている。ただ、この難局をなんとか乗り切ろうという感じもなく、でもこれがあるからまあいいか、と思っているが、いざそれが消えた時には、そんなものがあったかしら、という感じで悲壮感はない。

 

今、私の家は今そんな感じかな。去年はストーブが消えた。ガスファンヒーターって、つけてすぐ暖かいし匂いがないし、灯油のように注ぎ足す手間もかからないので重宝していたんだけど、ガス代が高いのでやめた。

来年は車が消える。ドライブの楽しみがなくなるし、買い物も不便になるけど、維持費が支払えないので、そろそろ手放す。

その次の年には、スマホを手放すかも。

今年は、もしかしたら仕事が消えるかも。このままもうちょっと頑張って何とか働くつもりだったが、今年の3月4月にドンと地盤沈下みたいに仕事がなくなった。コロナのパンデミックの影響で。

 

結局、わたしの場合は消えていくのではなくて自分で消しているのだが、もともと貧乏だったのが、年を取るともっと貧乏になることはわかっていたので、悲壮感はない。

 

密やかな結晶のように、大切な物を何とか残そうと頑張っている人は、現実社会にも必ずいると思うので、社会全体ではほんの少しだけ希望は見える。

 

唯一消えてほしいのは、お金。世界全体のお金がいっぺんに消えるとみんなが幸せになれる。

仕事をしてもお金がもらえないけど、物を買うにもお金がいらない、という世界って素敵だと思う。

税金もないし病院に行ってもお金がいらない。政治家も役所の人も只で働く。

働きたくない人は働かなくていい、自分の仕事に誇りをもっている人だけが働く。

国境は不明瞭になるかもしれないが、文化と言語の境界はある。

戦争はなくなる。

ZOZOTOWN前社長の前澤さんも、同じようなことを言っておられる。

ただ前澤さんは、お金は感謝だという。

でもわたしは、世界中の人たちが、ギブ&テイクという習慣が身についてしまっているので、自分の物をギブする時はお金をテイクするし、他人の物をテイクする時はお金をギブすることになっている。それが普通、健全だとみんな思っているが、わたしは不健全だと思う。

すべて、お互いにプレゼントしましょう。

大切な人には、誰でもプレゼントするでしょう?

世の中に、大切じゃない人っていますか?